読書日記 『イニシエーション・ラブ』

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     乾くるみさんは初めて読んだんですが、ミステリー作家らしいのですが本書は最後まで、ホント最後の数行まで恋愛小説。でも、前評判通りに最後の2行でこの物語の全てが覆されるような仕掛けがしております。必ず2回読みたくなると絶賛されたというのもうなずける内容で、実際に今2度目を読んでいるところであります。

     こっからはネタばれで書いていきますが、正直ネタばれしなけりゃこの作品の魅力だったり、驚き、恐ろしさは伝えられませんで。

     この作品の最後の最期に抱いた感想は「恐怖」でした。
     主人公・鈴木がマユと出会い、付き合うまでが前半。付き合ってから鈴木が東京へと転勤してしまってマユとの遠距離恋愛、浮気、そして別れの話が後半。
     ずっと読んでいったらマユがとても魅力的に描かれていて、鈴木がどんどん嫌な奴になっていくという展開で、読んでいるとマユが可哀想で鈴木はなんて奴なんだと思うわけ。でも、ここはネタばれになりますけど、前半と後半の鈴木は別人物で、マユが付き合ってきた二人の鈴木の別々の目線からの話なんですわ、この物語は。
     そして、この前半と後半と書きましたが、これは時系列的に前半と後半ではなく、同時期の話。つまり、マユは同時期に二人の鈴木と付き合っていたということ。
     それが分かると本書の「恐さ」が分かってくると思います。だって、二股をかけていたのはいいとしても、とてもその二股が巧妙なんですわ。後半の鈴木が浮気がばれたのは、浮気相手の名前をつい口にしてしまったから。それに対して、マユは二人の鈴木に対して同じあだ名で呼んでいる。
     前半の鈴木と初めて寝た時には初体験のフリをしていますが、時系列的に見て本当の初体験は後半の鈴木と。女の子の演技で済まされんのかなと。
     あとは、後半の鈴木が週に1回土曜日に東京から静岡に帰ってきて、お約束のようにセックスするわけですが、前日の金曜日には前半の鈴木とセックスしているわけですよ、毎週のデートとして。この事実が清純なイメージのマユとそぐわず、また「恐怖」をそそる。

     まあ、ホント最後の最期に騙されました。こんなトリックに引っ掛かってニヤリとしてしまったのは貫井徳郎さんの『慟哭』以来かも。ちょっとショックが大きかったけど・・・。普段、読んだことない作家の作品を読むのも、新しい刺激があっていいもんです。また、新しい話題作を探そうっと。


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