今日のネタ 『粗忽の釘』

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     とあるところに粗忽者の亭主がいた。
     引越の時にオレに任せろと家財道具一式を背負うが全く動かなくなる。荷物を減らしてもまったく持ち上げられないと思ったら、荷物と一緒に家の柱まで縛っていた。
     結局、ツヅラだけを背負って先に家を出たんだが、いつまで経っても亭主は戻らない。先に引越先に着いたかみさんが気をもんでいると。グッタリとした亭主がようやく到着する。
     なんでも、大通りに出て四つ角に来ると赤犬と黒犬が喧嘩をしている。それをしばらく眺めていると、赤犬が近づき、ぴょんと立ち上がった。びっくりした亭主はひっくり返ってしまい、ツヅラが重くって1人で立ち上がれない。人に手伝ってもらってようやく立ち上がったが、運悪くそこに自転車が突っ込んでくる。勢いで卵屋に飛び込む自転車は、卵を200ばかり踏みつぶしてしまう。
     警官が来て取り調べされ、ようやく解放されたと思ったら今度は新居の場所を忘れてしまった。そこで引き返して、大家に頼んで連れてきてもらったという。

     あきれ果てたかみさんだが、引越で忙しい。粗忽の亭主でも何か役に立つだろうと、まずは箒を掛けるための釘を打ってもらおうと金づちを手渡す。
     亭主は大工だからと安心してたら、場所を間違えて瓦釘という長い釘を壁に打ち込んでしまった。長屋の壁は薄いんで、きっと隣に突き抜けて危ないし、物をこわしてしまったかもしれないと心配したかみさんは、亭主を隣に行かせる。
     粗忽の亭主はまたしても失敗。隣の家ではなく、向かいの家に行ってしまう。間違いに気付いてようやく隣の家に着くが、落ち着こうと世間話を初めてかみさんとの馴初めを話しはじめる。隣の亭主も困って「あなた、何の用でいらしたんですか」と聞くと、ようやく釘のことを思いだした亭主。
     調べてもらうと、仏壇の阿弥陀様の喉を貫いている。酷いことをすると訴えられると、粗忽の亭主

    「お宅はここに箒を掛けるんですか?」
    「あなたが貫いた釘ですよ!」

    「ああ、これじゃ毎日ここまで箒をかけに来なけりゃならない。」
     

     本当に馬鹿馬鹿しくって、軽い噺なんですが、これがまた面白い。オチまでの流れ、そしてオチと色々工夫がきいて、時間も自由に変えられるとあってよく高座にあげられるネタのようです。
     僕は『粗忽の釘』としてはあまり聴いたことがないんですが、まったく同じ噺の上方版『宿替え』はよく聴いていました。これは枝雀師匠でしか聴いていませんが、まさに枝雀師匠の『宿替え』は大爆笑落語となっています。枝雀師匠のものはDVD版と、別テイクの二種類を保有。音源も別テイクか何種類かもってますんで、それだけ枝雀師匠が十八番にしていたというのが分りますね。どのテイクでも、何度聴いても笑ってしまいますな。

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