映画鑑賞日記 『アバター』

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     先日、話題作『アバター』を観に行ってきました。正直、物語自体にはほとんど期待はせずに、現在最高の3D技術とういものがどんなもんなのかということを確認しに行った感じ。

     いや〜、物語自体は楽しめましたがやっぱりありきたりの話。だったんですが、3D映像は驚きのひと言。はっきり言って、期待半分、ホントのところはまあこんなもんじゃないのと思うのが半分だったのですが、期待以上。はっきり言ってビビりました。あれほどの3D感が感じられるとは・・・。
     前半部分では「おお出てるな〜」って感じだったんですが、惑星パンドラの森林部へと主人公が進んでいったところから本領発揮。もう自分の目の前に森が広がってるって感じで、それに動きの激しいアクションがありで、もう酔ってしまいそうになる。

     物語は、惑星パンドラに侵略しようとする地球人と、先住民ナヴィとの争い。アバターとしてナヴィに接近する主人公ジェイクは、ナヴィの神秘に触れ、共感していくというもので、最後には先住民側について地球の侵略を追い払うというもので、ありふれた話。それでも、この映像美で観るとホント面白く感じてしまって、3時間にも及ぶ大作もあっという間に終わった感じでした。映画は脚本だけではなく、映像も大事。つまりは映像も脚本も音楽も、全ての分野が完成してこそ傑作が生まれるんだなと実感しました。正直、2Dで観ても面白くないかも・・・。
     この作品はDVDで観ることはないでしょうが、時間的に余裕があったらもう一度映画館で観ても悪くないなと思います。映画館で3Dで観るなら、損はない作品だと思います。


    <スタッフ>
    監督:ジェームズ・キャメロン 

    <キャスト>
    サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバー、ミシェル・ロドリゲス、ジョヴァンニ・リビシ、スティーヴン・ラング


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    映画鑑賞日記 『THE 4TH KIND フォース・カインド』

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       いや〜、やられた。なにがやられたって、久々に映画館へ行ったのにこんな駄作を観てしまうとは・・・。ホント、やられた。

       最近CMがちょくちょく流れている『THE 4TH KIND フォース・カインド』。「信じるか信じないかはあなた次第」というキャッチフレーズから、実際の事件を題材にしたというのが憶測されましたが、実際には予備知識がほとんどない状態で観に行きましたが・・・。実際の映像を使い、ストーリーを組み立てたという前置きがありましたが、物語の展開から言っても、常識的に考えても実際の映像とは思えない。

       まあ、ネタばらしになりますが、アラスカ州の町・ノームでは不眠症を訴える住民の数が300人以上もいて、共通の夢をみるという不思議な現象があって、それを心理学者が解明しようとしていくと衝撃的な事実が!という展開なんですが、この終着点が宇宙人の誘拐という突拍子もないもの。これで実際の映像を使ったというのが完全に嘘っぽく感じられる始末。というか嘘なんでしょうが。常識的に考えて、催眠療法なんかで記録した映像を映画などで流していいわけがないしねぇ。
       個人的には霊的な、つまりエクソシストみたいな感じのものだと思っていたわけですわ。個人的には霊的なものは信じる傾向がありますが、宇宙人の拉致というのはどう転がっても信じることができない。そいう意味で、現実かそうでないかというのを別にして、話の展開にがっかり。
       
       一番恐かったのは、実際のタイラー教授という、いちおうこの作品の主人公である女性のインタビュー。インタビューの内容ではなく、タイラー教授の顔色の悪さが一番恐い。
       あと、主演のミラ・ジョヴォヴィッチと、アンジェリーナ・ジョリーの区別がよくつかない。 ミラ・ジョヴォヴィッチは言いにくくって『バイオハザード』。アンジェリーナ・ジョリーは『トゥームレイダー』。ちょっと似ている感じ。ややこしやぁ〜。


      ストーリーは
      「アラスカ州ノーム。何者かに夫を殺害された心理学者のタイラー博士(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、夫の遺志を継ぐべくこの町特有の原因不明の不眠に苦しむ住民たちのカウンセリングに当たる。患者たちが一様に同じ症例を訴えることを不審に感じた彼女だったが、ある患者が謎の言語を発するとともに妻子を殺して自殺してしまい……。」


      <キャスト>
      ミラ・ジョヴォヴィッチ   ウィル・パットン 
      イライアス・コティーズ   ハキーム・ケイ=カジーム 
      コーリイ・ジョンソン   エンゾ・シレンティ  他
       
      <スタッフ>
      監督・脚本・原案: オラントゥンデ・オスサンミ
      製作: ポール・ブルックス / ジョー・カーナハン / テリー・リー・ロビンス
      製作総指揮: スコット・ニーマイヤー / ノーム・ウェイト / イオアナ・A・ミラー
      原案: テリー・リー・ロビンス
      撮影: ロレンツォ・セナトーレ
      プロダクションデザイン: カルロス・シルバ・ダ・シルバ
      衣装デザイン: ジョネッタ・ブーン
      編集: ポール・J・カヴィントン
      音楽: アトリ・オーヴァーソン




      映画鑑賞日記 『ゆれる』

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         これまた久しぶりに骨太の映画を観ました。
         監督は『蛇イチゴ』、最新作『ディア・ドクター』が好評の西川美和さん。『ディア・ドクター』は観ていませんが、『蛇イチゴ』はなかなかおもしろかった記憶があります。『蛇イチゴ』もそうだったと思いますが、今回の『ゆれる』も家族の歪んだ関係のようなものが非常に生々しく描かれているんじゃないでしょうか。


         あらすじは
        「写真家の猛は、母の一周忌で帰郷した。父と折り合いの悪い彼だが、温和な兄・稔とは良好な関係を保っている。翌日、猛は稔、そして幼馴染の智恵子と渓谷へと向かった。智恵子が見せる「一緒に東京へ行きたい」という態度をはぐらかして、一人で自然へカメラを向ける猛。そんな彼がふと吊橋を見上げた時、橋の上にもめている様子の稔と智恵子がいた。そして次の瞬間、そこには谷底へ落ちた智恵子に混乱する稔の姿だけがあった…。」


         ラストまでいくと何が真実なのか、何が嘘なのか、とても混乱してきます。
         嫁さんと話して一応の理解は以下のようなもの。
         猛は人を信じない性質を持っており、稔が智恵子を逆上して殺したと思っているし、その現場を観ている。しかし、兄を助けるという名目で、実際には自分の身を守るために兄の無罪を主張し、結局、兄とのすれ違いによって兄の罪を法廷の場で明らかにすることになる。
         しかし、本当は稔は智恵子を殺してはいなく、手を差し伸ばしていた。それを猛はしっかりと観ていたはず。けれども、最初から兄が智恵子を殺したと疑っていた猛は、真実の姿ではなく、稔が智恵子を殺したという姿を観てしまったのでしょう。それが、ラストの回顧シーンによって真実に気付いたのではないか。
         法廷の最後のシーンで猛が言った言葉「本当の兄を取り戻すために真実を言います」がある。皮肉にも、本当の兄の姿を見失っていたのは猛であり、本当の兄を取り戻したのはラストの兄が出所する場面である。

         面会のシーンで稔が猛に「おまえは俺が無実だということを信じていない」という内容を言いますが、稔はすべてを理解していたのがここで分るような気がします。ただ理解できないのは、なぜ稔は猛の偽りの真実を受け入れて刑に服したのか。裁判がひっくり返らなかっただけなんでしょうか。ラストシーンの笑顔からはちょっと分りませんね・・・。

         他にもこの作品の柱は、田舎に残る兄と外に出て好きなことで成功している弟の関係でしょう。弟は成功しながら、ある面では兄に対して嫉妬している。これは稔と猛の関係、父である勇とその弟の早川弁護士の関係で分ります。兄弟の関係は尊敬であったり、ライバルであったり、その関係は「ゆれる」もんだなと思いますね。

         それにしても、本作の香川照之はいいなぁ。裁判所が進むにつれて、疲れやあきらめ、ちょっとずつ普段の兄ではなくなっていく姿がしっかりと演じられています。ホント、いい役者さんだな。

         
        <スタッフ>
        監督・原案・脚本:西川美和
        音楽:カリフラワーズ

        <キャスト>
        早川猛(弟):オダギリジョー  早川稔(兄):香川照之
        早川勇(父):伊武雅刀  岡島洋平:新井浩文
        川端智恵子:真木よう子  丸尾明人検察官:木村祐一
        船木警部補:ピエール瀧  裁判官:田口トモロヲ
        早川修弁護士(勇の兄):蟹江敬三




        映画鑑賞日記 『チェンジリング』

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           ああ〜、泣けたなぁ。この映画。最後の数分で一気に感情が高まっちゃうな。クリント・イーストウッドの監督作品なんですが、他の作品とはまた違った感じで、こんな素晴らしい映画も作るんかと自分の中の評価がさらに上がった感じです。
           主演のアンジェリーナ・ジョリーの演技もすごく良かった。アンジェリーナ・ジョリーの作品って全く興味がなくて、他の作品はまったく観ていないんですが、この作品に限って言えば凄くいい女優さんだなと思います。他の作品はどうなんでしょう?


           あらすじは(Wikipediaより)
          「1928年のロサンゼルス。シングルマザーである電話会社に勤務するクリスティンの息子ウォルターが姿を消す。警察に捜査を依頼し、その5ヵ月後、警察からウォルターを保護したと朗報が入る。クリスティンは再会を果たしたが、全くの別人だった。警察にそのことを主張すると、彼女は「精神異常者」として精神病院に収容されてしまった。この事件の背後には当時のロサンゼルス市警察の恐るべき体質が隠されていた。」


           まず、この物語の大部分がノンフィクションであるということが驚き。
           行方不明の息子として別人が帰ってきて、警察は母親の訴えを否定する。母親が自分の子どもではないということを主張したことに対し、母親の精神が異常をきたしているという結論付けるということが本当にできるのか。まったくもって当時のロサンゼルス市警察の堕落ぶりが分かる。そんな時代があったというのが信じられないくらい。
           そして、警察の嘘が明らかになるのには衝撃的すぎる連続殺人事件。それも子どものみをターゲットにし、残虐すぎるもの。もし自分の子どもが被害者となったらと想像するだけで全身から怒りと悲しみが溢れだしてきます。

           この警察の偽造と連続少年殺人事件というショッキングな事件が絡み合った出来事があったというのは驚き。こんな物語は作ろうとしても作れない。真実であるからこそ、また恐怖を観ているものに与えるんではないでしょうか。こんなことこれから絶対あってはいけないことでしょうな。

          <キャスト>
          アンジェリーナ・ジョリー:クリスティン・コリンズ
          ジョン・マルコヴィッチ:グスタヴ・ブリーグレブ牧師
          ジェフリー・ドノヴァン:J.J.ジョーンズ警部
          コルム・フィオール:ジェームズ・E・デーヴィス市警本部長
          ジェイソン・バトラー・ハーナー:ゴードン・ノースコット
          エイミー・ライアン:キャロル・デクスター
          マイケル・ケリー:レスター・ヤバラ刑事
          ジェフ・ピアソン:サミー・ハーン
          デニス・オヘア:ジョナサン・スティール

          <スタッフ>
          監督:クリント・イーストウッド
          製作:クリント・イーストウッド、ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、ロバート・ロレンツ
          製作総指揮:ティム・ムーア、ジム・ウィテカー
          脚本:J・マイケル・ストラジンスキー
          撮影:トム・スターン
          プロダクションデザイン:ジェームズ・J・ムラカミ
          衣装デザイン:デボラ・ホッパー
          編集:ジョエル・コックス、ゲイリー・ローチ
          音楽:クリント・イーストウッド




          映画鑑賞日記 『ミラーズ』

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             まったく予備知識はなかったんですが、近所のTSUTAYAでランキング入りしていたのを見て面白そうだなと思いまして、久々のホラー映画をチョイス。
             主演は『24』のキーファー・サザーランド。内容というか、設定はなかなか面白い。鏡の中に住む何かが現実に影響を及ぼしていくというものなんですが、どうもこの設定をうまく活かしきれていない感じ。たぶん、日本のホラー映画ならもっとこの設定で面白い作品になったのではないでしょうか。
             前半の鏡の中に住むのは何か、どんなことが起きるか、というハラハラ感は合格点。が、物語の核となる謎解きがアメリカ的というか、結局、悪魔だか霊だかのせいになってしまって、挙句の果てにはラストには悪魔らしきものが暴れだす始末。おどおどとした雰囲気で引っ張っていって、ラストにアメリカン・ホラーの展開かい!って感じでした。
             前半部の主人公の妹が殺されるシーンがピークかな。あの場面は怖いというよりも気持ち悪いのが先行しましたが、これからどんな惨劇が始まるのか期待させるものでした。まあ、それほどの盛り上がりはその後にはないんですが・・・。
             あと、微妙な矛盾点が多々あったのもいただけない。主人公の息子がなぜに悪魔に操られていたような状態になっていたのかとか、家じゅうの鏡を捨てればいいのになぜにペンキを塗るのか、とか。ちょいと昔の笑えるホラー映画の流れがしっかりと受け継がれている感じでした。
             とにかく、設定が面白いだけに、この内容は残念。

             調べていたら、これは韓国映画『Mirror 鏡の中』のリメイクということを知りました。リメイクということは、それなりに設定だったり、内容が面白いからリメイクされるわけでして、この点を考えたらこの作品の褒められる部分があまりなくなってしまいますなぁ。

             
             あらすじは
            「同僚を誤って射殺してしまい、停職処分を下されたニューヨーク市警の刑事、ベン・カーソン(キーファー・サザーラン)はアルコールに溺れる日々を送っていた。だがベンは、別居中の妻・エイミーの信頼と、かわいい2人の子供との生活を取り戻すため、5年前の大火災で大勢の死者を出し、廃墟と化したメイフラワー・デパートを巡回する夜警の仕事につく。そこでベンは、いまなお美しい光沢を保つ巨大な鏡の邪悪な妖気に引き寄せられるように鏡に触れた瞬間、全身を焼き尽くすような激痛がベンを襲い、鏡には焼けただれた女性の姿が映し出された…。そのあまりにもリアルでおぞましい体験から、極度に鏡を恐れるようになったベン。だが彼の周囲で、奇怪な出来事が続発するようになる。やがてベンは、鏡に浮かび上がった謎めいたキーワードの意味を調べるうちに、50年以上前に病院で起こった忌まわしい事実にたどり着く――。」


            <キャスト>
            キーファー・サザーランド ポーラ・パットン エイミー・スマート
            メアリー・ベス・ペイル ジョン・シュラプネル ジェイソン・フレミング
            ジュリアン・グローヴァー エズラ・バジントン

            <スタッフ>
            監督:アレクサンドル・アジャ 脚本:アレクサンドル・アジャ、グレゴリー・ルバスール
            製作総指揮:アーノン・ミルチャン、キーファー・サザーランド、マーク・S・フィッシャー、アンドリュー・ホン
            製作:アレクサンドラ・ミルチャン、マーク・スタンバーグ、グレゴリー・ルバスール
            撮影:マキシム・アレクサンドル 音楽:ハビエル・ナバレテ




            映画鑑賞日記 『グラン・トリノ』

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               ひさびさのクリント・イーストウッド監督作品を観る。
               テーマ的には『ミリオンダラー・ベイビー』なんかに通じる、移民、人種、家族の問題、家族以外との愛情など。イーストウッドはこの共通のテーマを常に持っている人なんでしょうな。
               個人的には『ミリオンダラー・ベイビー』が重すぎるんで、こちらのほうが気楽に観れる感じでした。最後も、ある意味、救いがあるというか、未来があるものが残されたというのが良い。


               あらすじは(Wikipediaより)

               朝鮮戦争の帰還兵でフォードの自動車工だった老人コワルスキーは、妻に先立たれ息子たちにも邪魔者扱いされつつ、日本車が台頭し東洋人の町となったデトロイトの通りで隠居暮らしを続けていた。外国人を毛嫌いしていた彼の家にヴィンテージカー、グラン・トリノを狙い、ギャングらにそそのかされた隣家のモン族の少年タオが忍び込むが、コワルスキーの構えたM1ガーランドの前に逃げ去る。
               その後、なりゆきでタオの姉スーを不良達から救ったコワルスキーは彼ら家族の温かさに親しみを覚え、タオに一人前の男として仕事を与えてやろうとするが、それを快く思わないモン族のギャングらがタオにからみ、顛末を聞いて激昂したコワルスキーはギャングのメンバーに報復を加える。これに対してギャングらは一矢を報いようとタオの家に銃弾を乱射し、スーをレイプする。


               コワルスキーが少しずつモン族との触れ合いによって、軟化していったり、さらにタオとの関係でどんどん変わっていく姿がとても良かった。この変化があることが、逆にラストの悲劇へと着実に進んでいくことになっていくのが皮肉。
               ラストのコワルスキーの選択は悲劇でありながら、残された者にとってはベストのものだったのかもしれない。この世を先に去っていく者が、若く未来がある者の糧になる。そんな感じでしょうかね。


              <キャスト>
              クリント・イーストウッド:ウォルト・コワルスキー ビー・ヴァン:タオ・ロー
              アーニー・ハー:スー・ロー クリストファー・カーリー:ヤノヴィッチ神父
              ブライアン・ヘイリー:ミッチ・コワルスキー ブライアン・ホウ:スティーブ・コワルスキー
              ジェラルディン・ヒューズ:カレン・コワルスキー ドリーマ・ウォーカー:アシュリー・コワルスキー
              コリー・ハードリクト:デューク  ジョン・キャロル・リンチ:マーティン
              スコット・リーヴス:トレイ

              <スタッフ>
              監督:クリント・イーストウッド 
              製作総指揮:ジェネット・カーン 、ティム・ムーア 、ブルース・バーマン 
              音楽:カイル・イーストウッド 、マイケル・スティーヴンス[
              脚本:ニック・シェンク 




              映画鑑賞日記 『未来を写した子どもたち』

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                 本作は2004年アカデミー長編ドキュメンタリー部門最優秀ドキュメンタリー賞受賞作品なんですが、これこそドキュメンタリー、これこそ真実を映した映画だと久々に思いました。日本での公開劇場が一握りというのが信じられない。やはり、日本にはこういった本格的なドキュメンタリーを受け入れる基盤が少ないのでしょうか。

                 内容はイギリス人女性写真家のザナ・ブリスキが、インド・カルカッタの売春窟に生まれついた8人の子どもたちに写真を通じて表現する歓びを与えることから始まり、ザナは子供たちをこの売春窟から助け出そうと行動を始めるというもの。
                 子供を助けるためには第一に教育。学校に通わせること。しかし、売春婦の子供たちが入学の許可を得るには困難なことが多く、さらには親たちの反発、生活の問題と多くの障害があり、作品の後半にはようやく一歩が踏み出せたといった感じ。
                 DVDには特典映像として、数年後の子供たちの姿も映されている。順調に学校に通い、未来に希望を持っている子もいれば、せっかくのチャンスを活かせず、また同じ生活へと戻ったものもいる。これはリアルなことであり、明暗が分かれるのが当然。でも、同じ生活へと戻った子たちにも悲壮感は感じられなかったんですよね。それが生きるということだからなんでしょうか。


                 最初、写真家のザナ・ブリスキが子供たちを救おうと行動を起こすことに対して、違和感・反発を覚えました。というのは、ドキュメンタリーというものは真実を写すべきであると僕は思っており、子供を助けるために行動をするということが正しいことなのかがわかりませんでした(もちろん、子供を助けること自体が悪いのではなく、ドキュメンタリーという中で子供を助けるということがという意味で)。
                 もう1つが、子供を助けることは間違いではないとしても、映画で関わりがあったたった8人を助けたとしても、根本的な解決には至らないのではということ。苦しんでいる子どもたちは他にもたくさんいるでしょうし、その子たちを無視し、数人だけを助ける。これははたして良いことなのか・・・。

                 この2点が引っ掛かっていた部分なんですが、この映画を最後まで観て、いろいろ考え、ちょっと気持ちも変わってきた感じです。
                 ドキュメンタリーを通して人助けをするということは、自分の正しいと思っている価値観を押し付けることになってしまうのではないかというのが一番の考えだったのですが、子供たちの姿を見ていると間違った考えだったのかもと思った。子どもたちは僕が思っている以上にしっかりと考え、自分たちの価値観を持っていた。しっかりと、現実に子供たちは生きていたのです。
                 だから、ザナの価値観を受け入れる子もいたし、結局、以前の生活に戻る選択をした子もいる。いずれも間違いじゃない。

                 この前提があるからこそ、ザナが映画の中で救済をしようとしたことも間違いではなかった。価値観の押し付けになることはなく、だからこそ、すべての子供を助けようとしたのではないことが肯定される。すべての子供を助けるためにドキュメンタリーの中で行動することは、一面では価値観の押しつけになり、偽善になる可能性がある。8人の子供に向かい合い、ザナの価値観を分かってもらったからこそ、この映画に共感したんでしょう。
                 もう1つ、価値観の問題に反して、すべての子供を助けようとしないで、数人だけしか助けないのではなんの問題解決にならないのではということに対しても、しっかりとこの映画は答えてくれていた。
                 この映画の8人の子供たちを通して、すべての売春窟の子供たちに希望を与えられたのは間違いではない。決して、映画に登場した子供たちだけを助けるべくしたのではなく、しっかりと将来の救済のための道しるべを作り上げたのがわかる。財団などの協力を取り付けたりできたのも、この映画があったからこそなのかもしれない。そう考えれば、この映画の中で登場した子どもたちだけを助けるということは、ほんの一歩。むしろ、大規模に最初からすべての子供を助けようと行動したのなら、そこに住むすべての人たちの価値観を否定し、ザナの価値観を押し付けることになったでしょう。
                 本当の意味で、この売春窟を助けるのには、時間をかけ、価値観を押し付けるのではなく、そこに生活する人々すべてが考え、価値観を変えていかなければならない。そのための一歩にこの映画はなったことは間違いないと思います。とても素晴らしい映画でした。


                <スタッフ>
                原題 : BORN INTO BROTHELS:CALCUTTA'S RED LIGHT KIDS 
                制作 : ロス・カウフマン , ザナ・ブリスキ , ギャラリン・ホワイト・ドレイファス 
                音楽 : ジョン・マクダウェル




                映画鑑賞日記 『カッコーの巣の上で』

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                   昔の名作は評価をある程度知ることが出来るんで当たりが多い。もちろん、自分に合う合わないもあるし、観る時の心もちや年齢・経験によって他の評価と自分の評価が違う場合も多々あります。それでも、公開から年数が経っても評価され続けている作品は面白い。そもそも、駄作は年数が経ったら忘れ去られ、評価されることもないですもんな〜。

                   そんな名作の1つが今回観た『カッコーの巣の上で』。本作は1975年に公開、アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞と主要5部門を独占した作品で、それも頷ける内容でした。

                   ストーリーは(Wikipediaより)
                  「刑務所から逃れるために精神病院に(詐病によって)入院してきた主人公のマクマーフィー。向精神薬を飲んだふりをしてごまかし、婦長の定めた病棟のルールに片っ端から反抗していく。グループセラピーなどやめてテレビでワールドシリーズを観たいと主張し、他の患者たちに多数決を取ったりなどする。
                   また他の患者を無断で船に乗せて、海に出たりもする。こうした反抗的な行動が管理主義的な婦長の逆鱗に触れ、彼女はマクマーフィーが病院から出ることが出来ないようにしてしまう。マクマーフィーはチーフが実際はしゃべれないフリをしていることに気づく。
                   クリスマスの夜、マクマーフィーは病棟に女友達を連れ込み、酒を持ち込んでどんちゃん騒ぎをやる。その後、逃げ出すつもりだったのだが寝過ごしてしまう。翌日、乱痴気騒ぎが発覚し、そのことで婦長から激しく糾弾される。そのショックで(マクマーフィーにかわいがられていた)若い男性患者が自殺してしまう。マクマーフィーは激昂し、彼女を絞殺しようとする。その後、婦長を絞殺しようとしたマクマーフィーは他の入院患者と隔離される。
                   マクマーフィーは病院が行った治療(ロボトミー)によって、もはや言葉もしゃべれず、正常な思考もできない廃人のような姿になって戻ってくる。
                   ネイティブアメリカンである患者の“チーフ”はマクマーフィーを窒息死させ、「持ち上げた者には奇跡が起きる」とマクマーフィーが言った水飲み台を持ち上げて窓を破り、精神病院を脱走していくところで映画は終わる。」


                   なんの知識もなく観ても、精神病棟の問題と、健常者と精神病者の対比などで非常に興味深い作品でした。病院のスタッフと精神病患者なんですが、これが物語を観ていくにつれて立場が逆になっていくように思える。つまり、病院のスタッフのほうが不健康で、精神病患者たちのほうが自由で健康な立場にあるように思えてきてしまう。ここに当時の精神病棟の問題が暗示されているように思われる。
                   この物語のキーポイントである今は禁止されているロボトミーという治療法であります。このロボトミーという治療は前頭葉切裁術のこと。これによって性格が穏やかになったということですが、実際にはほとんどがこの手術から生還できなかったようですし、生き残ったとしても人格変化、無気力、抑制の欠如、衝動性などの重大な副作用があったようです。こんな滅茶苦茶な手術が行われていたことからも当時の精神病患者に対する扱いがひどかったということは容易に想像できます。

                   個人的には物語の後半になるまでは、主人公であるマクマーフィーが痛快な活躍をして、最後には病院を抜け出すという話だと思ってました。病院を逃げ出す前夜までは、本当に患者たちは楽しげで、ここでマクマーフィーが逃げ出したらまさに「居残り佐平次」的な物語だと思ったんですが、まさかあんな展開になるとは・・・。なんで酒なんか飲んで、眠り込んでしまったのか。まんまと病院を抜け出せたらなんと痛快な映画だったのかと思ってしまうのは僕だけではないでしょう。

                   それでも、いい映画といったら変ですが、観て良かったなと思う映画でした。いろいろ考えさせられる内容ですが。観ていない人は観ても損はない内容だと思います。
                   ちなみに、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役で有名なクリストファー・ロイドのメジャー・スクリーン初登場作品でもあります。チェックをしてみてくださいな。


                  <キャスト>
                  ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、ウィリアム・レッドフィールド
                  マイケル・ベリマン、ピーター・ブロッコ、ディーン・R・ブルックス
                  アロンゾ・ブラウン、スキャットマン・クローザース、ウィル・サンプソン
                  ブラッド・ドゥーリフ、クリストファー・ロイド

                  <スタッフ>
                  監督:ミロシュ・フォアマン 製作:ソウル・ゼインツ、マイケル・ダグラス
                  原作:ケン・ケーシー 脚本:ローレンス・ホウベン、ボー・ゴールドマン
                  撮影:ハスケル・ウェクスラー 音楽:ジャック・ニッチェ
                  編集:リチャード・チュウ




                  映画鑑賞日記 『父親たちの星条旗』

                  0

                     これは凄い映画でした。何本かイーストウッド作品を観てきましたが、ダントツに素晴らしい作品だったと思います。久々に鳥肌立つような内容。
                     
                     ストーリーは(Wikipediaより) 
                    「ウィスコンシン州で葬儀屋を営む老人が長い人生に別れを告げようとしていた。彼の名はジョン・“ドク”・ブラッドリー。1945年彼は海軍の衛生兵として硫黄島に赴き海兵隊と共に戦った。 その中で撮られた一枚の写真により、彼はアメリカ中から“英雄”と称えられた。しかし彼はその後も、家族へ硫黄島について語ろうとはせずアメリカ中に知れ渡ったこの写真について何も語ろうとはしなかった。 硫黄島で何があったのか、彼の息子・ジェイムズは硫黄島の真実について辿り始める。」
                     
                     戦争のむごさ、悲惨、理不尽さ。それだけではなく、戦地に赴いた者と戦地を知らずに戦争を押し進めようとする者のギャップ。なにより、戦争には善も悪もなく、ただ人間を人間として扱わない世界があるのみだということがよく分かります。
                     戦争は一部の人間が作り出し、いつの間にか人間が手に負えない大きな力が勝手に戦争を押し進めていく様がよく描かれている。戦争は人間が作り出した最も悲惨で理不尽なもの。この戦争というパンドラの箱に人間は決して触れてはいけなかったのに違いありません。戦争は確実に直接戦地に赴いたものも、行かないものも、すべての人間を狂わせる。単純に戦争はどんな理由があれ、してはいけないものだということが素直に思えます。
                     
                     この映画でイーストウッドが戦争に対してどのような姿勢を取っているのかということも良くわかり、この映画を観るだけでイーストウッドとはどのような人物なのかということが一面でも垣間見ることができるんじゃないでしょうか。ますますイーストウッドが好きになりそうですなぁ。
                     この映画についてどうこう言えるものじゃないと。ただ観た人がそれぞれに戦争の理不尽さを感じ、その後どうするか、どう思うかはそれぞれの自由。個人的には理解できる歳になったら息子と一緒に観たい映画だなと。願わくば、この映画が言いたいとするところをしっかり理解できる子になってくれればと思いますな。

                    <キャスト>
                    ライアン・フィリップ ジェシー・ブラッドフォード アダム・ビーチ ジェイミー・ベル バリー・ペッパー  ポール・ウォーカー ジョン・ベンジャミン・ヒッキー  ジョン・スラッテリー ジョゼフ・ クロス

                    <スタッフ>
                    監督/製作/音楽:クリント・イーストウッド
                    製作:スティーブン・スピルバーグ/ロバート・ロレンツ
                    原作:ジェイムズ・ブラッドリー/ロン・パワーズ
                    脚色:ポール・ハギス/ウィリアム・ブロルイズ・Jr
                    撮影:トム・スターン  美術:ヘンリー・バムステッド
                    衣装:デボラ・ホッパー  編集:ジョエル・コックス




                    映画鑑賞日記 『マディソン郡の橋』

                    0
                      ロバート・ジェームズ・ウォラー,リチャード・ラグラヴェネーズ

                       嫁さんのイーストウッドブームは継続中。今回は普段はほとんど観ないんじゃないかと思われるジャンルに属する を鑑賞。一緒に観ていたんですが、僕は30分ほどで熟睡。きっとこの手の映画は肌に合わないんでしょうなぁ。今回はせっかくなんで後日に1人で続きを鑑賞。

                       ストーリーは(Wikipediaより)
                      「アイオワ州の片田舎で出会った、平凡な主婦と中年のカメラマンの4日間の恋を描く。1989年の冬、フランチェスカ・ジョンソンの葬儀を出すために集まった長男のマイケルと妹のキャロリンが母の手紙と日記を読み始る場面からストーリーがはじまる。1965年の秋、ウィンターセットに点在するカバードブリッジのひとつ、ローズマンブリッジを撮りにやってきたナショナルジオグラフィックのカメラマン、ロバート・キンケイドは小さな農場の主婦フランチェスカ・ジョンソンと出会い恋に落ちる。そして永遠に心に残る4日間が始まる…。」


                       観終わっての感想ですが、きっと女性の方でこの類のジャンルが好きな人なら大絶賛なんだろうなと。大方の男性と一部の女性はそれほど良いと思わないんじゃないかな。ということで、この映画は僕にとってはつまらないとまでは言いませんが、良い映画という感想は持ちませんでした。
                       よく描けているなと思ったのは、恋愛に対する男女の考えの違い。
                       フランチェスカは本当の愛を見つけた後も現実から離れない。もしロバートと旅立てば家族はバラバラになるだろうし、そのことで苦しみ、最後にはロバートを恨むだろうことを分かっている。対してロバートは真実の愛の普遍性を全く疑っていない。どんな困難であったとしても乗り越えてられると思っているわけで、男はどこまでいってもロマンチストなのがよく描かれてます。この男女の対比こそ、真実であり、この映画が一番描きたかったことなんじゃないかな。
                       凄いと思ったのは、やっぱりイーストウッドの演技。特に最後、フランチェスカが自分に付いて来てくれないのをロバートが悟ったシーン。雨の中でたたずみ、無言でフランチェスカを見つめるイーストウッドの演技は鳥肌もの。このワンシーンだけでイーストウッドの偉大さが分かるような気がするし、このシーンを観るためだけにこの映画を観ても良いと思うぐらい。ホントに。

                       個人的にはまったく興味のない作品なんですが、世界的に大ヒットした映画らしいです。

                      <キャスト>
                      クリント・イーストウッド メリル・ストリープ アニー・コーリー
                      ヴィクター・スレザック ジム・ヘイニー

                      <スタッフ>
                      監督:クリント・イーストウッド  製作:クリント・イーストウッド、キャスリーン・ケネディ
                      原作:ロバート・ジェームズ・ウォーラー (原題:The Bridge of Madison County)
                      脚本:リチャード・ラグラヴェネス  音楽:レニー・ニーハウス
                      撮影:ジャック・N・グリーン  編集:ジョエル・コックス
                      美術:ジャニール・クラウディア・オップウォール




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